なぜ発症するの?白内障のメカニズム
目のトラブルの中でも比較的よく知られているのが白内障ではないでしょうか。きっとあなたの身の回りにも「白内障の治療をした」という人が1人や2人、あるいは何人もいるはずです。今回は、そんな白内障発症のメカニズムについて、また、白内障の治療方法についても解説します。
白内障とは
白内障とは、レンズの役割を果たしている水晶体が白濁し、視界がかすんだり視力が低下したりする病気です。曇って不透明となったレンズでカメラ撮影するとピンぼけとなってしまうのと同じ理屈と考えるとわかりやすいでしょう。
白内障はなぜ発症する?
外傷による発症や、合併症としての発症などもありますが、大多数のケースが加齢による「加齢性白内障」です。水晶体は、主に水とタンパク質から構成されているため、加齢や長期間紫外線を浴びてきたことなどによりタンパク質が変性してしまうのが白濁の原因となっています。こちらも主にタンパク質でできている皮膚が加齢に伴い変性して、シワやたるみ、黄ぐすみなどが生じるのと同様ですね。
程度の差はあれ、年を取れば誰でも水晶体が濁ってきますので、厳密には病気というよりは老化現象であり、ごく自然なことといえるでしょう。
白内障の治療は手術で
白内障の進行を抑える点眼薬はありますが、あくまで進行を遅くするだけで、薬を使ったからといって濁った水晶体がまた透明に戻ることはありません。白内障を治す、つまり水晶体の濁りをなくすには、現時点では外科的手術が唯一の方法です。
手術の内容は、濁った水晶体を超音波で破砕した上で吸引し、水晶体代わりになる眼内レンズを入れるというもので、手術時間は短ければ10分前後、長くてもせいぜい30分程度の場合が大半です。現在では入院不要の日帰り手術も一般的です。
早ければ40代頃より進行が始まり、70代以降ではほとんどの人に見られる白内障だけに、年間の手術件数は140万件以上と非常に多く、目に限らない全身の外科的手術の中でも上位に来るほどの件数です。どれだけ容易だとしても患部を切開するわけですから、もちろん軽視してはいけませんが、大変メジャーな手術ですので過度に怖がる必要はありません。
白内障を放っておくとどうなるか
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白内障をそのまま放置しておくと起こるのは、水晶体の白濁度合いの悪化です。また、白内障は基本的に命に関わる病気ではなく、症状が進行すると手遅れになるということもありません。ですから、日常生活に支障が出て不便を感じるようになった段階で手術を決めればよく、実際そういったパターンが主流です。とはいえ、別の病気を併発してしまう可能性はありますし、目がよく見えなくてはQOL(生活の質)を著しく低下させてしまいます。
ある程度の年齢になってなんとなく見づらいなと感じたら、早めに眼科を受診するようにしましょう。
今回のまとめ
年を重ねれば誰しも避けられないのが白内障です。白内障の進行が直接命に関わることはなく、手術による治療も一刻を争うものではありません。ですが、クリアな視界は、快適な生活を送る上で欠かせない要素です。知らず知らずのうちに日々の暮らしの質が落ちてしまわないよう、中高年の方であれば眼科での定期的な検査を受け、進行状況を把握することをおすすめします。