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白内障治療の歴史を紹介

白内障治療の歴史を紹介

今日では短時間に済ませられる外科的手術の代表格ともなっている白内障手術ですが、ここに至るまでには長い歴史がありました。今回は、白内障治療の歴史をご紹介します。

【目次】
驚くほど古い!白内障治療の歴史
白内障手術のおよそ3000年の変遷
今回のまとめ

驚くほど古い!白内障治療の歴史

白内障は、先天性のものや物理的な衝撃が加えられたことによるものなどを除けば、水晶体(目のレンズに当たる組織)の老化が原因です。ということは、現代と昔とでは平均寿命は比べ物にならないとはいえ、大昔であってもそれなりに長生きした人には白内障の症状が見られ、治療も行われていたに違いありません。事実、紀元前に書かれた治療法の記録が残っています。

白内障手術のおよそ3000年の変遷

白内障手術がどのように変遷してきたかを見ていきましょう。

紀元前800年頃

紀元前800年頃にインドで書かれた医学書には、針で目を突いて水晶体を眼球後方に落とし込む「墜下法」が白内障手術として記されています。日本にも14世紀頃に中国経由で伝わったようです。もちろん麻酔なし。聞いているだけでも痛くなってきそうな手術方法ですが、実はこの手術は19世紀まで、つまりほんの200年ほど前まで行われていたのです。

18世紀頃

目の構造が判明し、白内障は水晶体の濁りが原因であると解明され、フランス人医師により水晶体摘出術が考案されました。角膜を切開して水晶体を摘出するまでの工程は今日の治療法の原理に近いといえますが、取り出した水晶体の代わりとなるものはまだなく、術後は分厚い眼鏡をかける必要がありました。その後、麻酔や消毒の技術が開発されたり、切開手法が進歩したりもしましたが、水晶体摘出後の眼球がレンズのない状態となる状況は変わりませんでした。

20世紀半ば

イギリス人医師がついに眼内レンズ(人工水晶体)を発明しました。眼内レンズの歴史はこんなにも浅かったのですね。続いてアメリカ人医師により超音波乳化吸引装置も発明されたことにより、今日行われている内容に近い治療が広まっていきました。

1980年代

折りたためる眼内レンズが発明され、3mm以下の切開でも眼内レンズを挿入できるようになり、白内障手術の質が飛躍的に高まりました。外科手術では傷口が小さいほど患者様の負担は減り、治りも早く、術後の感染症リスクも下げられるのは目に限らない話ですが、そもそもサイズの小さい眼球の場合、傷口の小ささはとりわけ意味を持つといえるでしょう。また、眼内レンズの保険適用が開始され、手術件数が急増したのもこの頃です。

現在

現在広く行われている白内障手術の大まかな流れは次のとおりです。

・手術中に痛みを感じないように点眼薬で麻酔をかける
・顕微鏡で手元を拡大しながら、水晶体を包む「水晶体嚢」に小さく切れ目を入れる
・切れ目から器具を挿入して、水晶体を超音波で砕きながら吸引する(水晶体嚢は残す)
・中身のなくなった水晶体嚢の中に折りたたんだ状態の眼内レンズを挿入する
・水晶体嚢内で折りたたまれた状態から元に戻って広がった眼内レンズを固定
する

基本となる手順は、眼内レンズと超音波乳化吸引装置の発明当初より変わっていませんが、使用する手術器具が著しく進歩しているため、今では手術の所要時間は10~30分程度で、日帰り手術も一般的となっています。

今回のまとめ

眼内レンズが発明されたのがやっと20世紀半ば、折りたたみ眼内レンズの発明が1980年代です。その歴史を知るほどに、今日の白内障手術の目覚ましい進歩はここ20〜30年の話であることに驚かされますね。今では日本国内だけでも年間140万件以上行われている白内障手術は、医療技術の進歩により外科的手術の中でも極めて安全性の高いものの一つに数えられるまでになっています。