プール熱(咽頭結膜炎) ”流行り目の軽症型” 熱が出る、目が赤くなる
日本眼科学会眼科専門医
こんにちは。ひらばり眼科です。
今回は、夏に多い子どもの3大夏風邪のひとつ「プール熱(咽頭結膜熱)」という病気についてお話します。
【目次】
プール熱の原因と症状
毎年6月ごろから、アデノウイルスが引き起こす「咽頭結膜熱」という病気が流行します。
プールでの感染が多いことから、「プール熱」と呼ばれます。小さなお子さんがいるご家庭では、手足口病やヘルパンギーナと併せて“3大子どもの夏風邪”として聞いたことがあるかしれませんね。
主な症状は下の通りです。
・発熱
・頭痛
・のどの痛み
・目の充血
・目やに
・食欲不振
・身体のだるさ
こうお話しすると、「でも今年はコロナでプールも行かないからうつらないんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ところがプール熱は、飛沫や接触感染で広がるため、流行は夏ではあるものの1年を通して感染する可能性があります。
プール熱はその名の通り発熱が主な症状ですが、厄介なことにアデノウイルスには約50もの種類があり、それぞれのウイルスの種類によって症状が異なります。アデノウイルスの中には目に悪影響を及ぼすものもあり、ひどい目の充血や目やにの症状を引き起こす「流行性角結膜炎」の原因となります。
プール熱の治療方法は?
先に結論から申し上げますと、原因となるアデノウイルスを退治するお薬がないので、症状を緩和させる対症療法となります。お子さんであれば、お子さんの免疫力で回復する手助けをしてあげましょう。
・水分補給
・十分な睡眠
充血や目やによりも、発熱の症状が強く出ることが多いので、まずは小児科のほうでしっかりと診断・治療をしてもらいましょう。
感染を広げないために
アデノウイルスはとても感染力が強いため、子どもから大人へうつる例もあります。家庭内での感染にも気をつけましょう。
・こまめな手洗い
・タオルを使いまわさない
熱はおおよそ5日ほど、症状全体としては長くても2週間ほどで治まることが多いです。辛いところですが、脱水と感染拡大に気を付けて、様子を見ていきましょう。
学校、保育園はいつから行けますか?
プール熱は学校保健安全法における「学校感染症」にあたるため、発症した場合は出席停止となります。症状が無くなって2日後から登校できるようになります。お勤めされている方は、会社規定を確認しておくと良いでしょう。
ほかにもある子どもの夏風邪
このプール熱のほか、先にふれたように子どもの夏風邪として「ヘルパンギーナ」「手足口病」があります。どちらもエンテロウイルスというまた違ったウイルスが原因で引き起こされる病気です。
(ヘルパンギーナ)
・40度近い高熱
・口の中に水疱
(手足口病)
・出ても微熱程度
・口の水疱、手足の皮疹
これらの症状が見られた場合も、小児科に相談してみるのが良いでしょう。
最後に
子どもの風邪はウイルスが原因となるものが多いため、やはり1年を通してこまめな手洗いやうがいが大切です。プール熱の場合は、目にも症状が広がる可能性があるため、目を触りすぎないようにしましょう。
例えば、昨年のインフルエンザの患者数は、それ以前と比較してだいぶ少なかったそうです。それはインフルエンザ対策より前から、コロナウイルス対策として多くの人が普段から手洗いやうがいに加え、飛沫を防ぐマスクも常用していたことが理由だといわれています。
ぜひ、ご家族でよい習慣にしてみましょう!