子どもの「ものもらい」の治し方
まぶたが赤く腫れて、痛くなる病気です。
ものもらいはまぶたの皮膚の皮脂腺や汗腺、まぶたの裏側にあるマイボーム腺で細菌が増え化膿する病気です。
「めばちこ」、「めいぼ」、「めもらい」などいろいろな名前で呼ばれているごくありふれた病気です。
眼科の正式な病名は「麦粒腫」です。
「ものもらい」の原因となる細菌は?
黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌がものもらいを起こす主な細菌です。
人の体の表面にいるごくありふれた常在細菌です。
これらの細菌が増殖することで引き起こされる病気です。
ものもらい が起きる場所よって外麦粒腫と内麦粒腫に分類されます。
外麦粒腫 まつげ周囲の皮脂腺(Zeis腺)や汗腺(Moll腺)に細菌が入り込んで発病します。
内麦粒腫は涙の表面を構成する脂質を供給するマイボーム腺で起きるものもらいです。
どんな人がかかりやすい?
ものもらい(麦粒腫)は子供や若い年代に多く見られる病気です。また、体力の低下している時に起こりやすい傾向があります。糖尿病、免疫低下状態や慢性の眼瞼皮ふ病で繰り返し起きることもあります。
ものもらい(麦粒腫)はいつ頃の季節に多いのか?
皆さんが体調を崩しやすい夏や春先など,季節の変わり目に起こりやすい病気です。寒くてばい菌が増えにくい冬でも、ものもらいは起きることがあります。
ものもらいの症状と経過
◆初期症状
主な症状はまぶたが赤く腫れ、熱感や痛みを伴う。まばたきをするときゴロゴロした痛みや腫れで気づくことが多いようです。
◆進行すると
まぶたは組織が緩くできているためまぶた全体が赤くなり腫れてきます。
◆さらに悪化すると
黄白色の化膿点が現れます。外麦粒腫では皮膚側に、内麦粒腫はまぶたの裏の結膜側に膿点が現れる。
こどもで注意すべき事は
乳幼児の麦粒腫ではものもらいがまぶた全体に広がり易く、さらにまぶたの奥に広がると蜂窩織炎と呼ばれる強い炎症になります。眼瞼膿瘍、眼窩蜂窩織炎が急速に進行することがあるため短い間隔で診察を受けることをお勧めします。
ものもらいの治し方(目薬、のみ薬、軟膏、切開手術)
ものもらいの治療は体調管理と抗生物質の目薬や内服が基本になります。炎症が強い場合は消炎剤も一緒に使用します。
◆目薬(抗生物質)で治す。クラビット点眼液など
1日3回から4回確実に点眼して下さい。1回1滴で十分です。
まぶたと目の間は狭い ため、いちどにたくさん点眼しても一滴と同じ量しか残らず、あとは瞼の外に流れ出てしまいます。一滴ずつ時間を開けて何回にも分けて点眼するとより効果的です。
◆軟膏(抗生物質)で治す。タリビッド眼軟膏など
赤く腫れているところに塗ります。目に入ってもいい眼軟膏を処方します。手を洗って、指先に塗り薬をつけ、まつ毛の根元までしっかり塗ってください。
◆内服(抗生物質)で治す。
症状が重い時、体調が悪く重症化しそうな時は内服も一緒に処方します。
内服薬は3日ほど使います。
飲み薬の副作用は下痢や発疹です。副作用が現れたら直ちに内服を中止してください。
◆切開手術で治す。
ものもらいが進行してくると膿が溜まってきます。膿が外に流れでて自然軽快することがあります。
しかし、膿が深い所に溜まると自然には排膿しないため、切開し膿をだします。排膿後は抗菌薬の移行が良くなるため抗菌薬の点眼や軟膏を続行します。
まぶたの赤みがなかなか治らない時は
ステロイド剤の点眼薬や眼軟膏を使うことがあります。ステロイド剤を使う時は、副作用のチェックが必要なため定期的に診察を受けてください。
ステロイド剤の副作用には、眼圧が高くなったり、角膜の感染症を起こしたりすることがあります。
ステロイド剤の副作用をチェックする。
細隙燈顕微鏡検査や眼圧測定検査をして副作用をチェックします。副作用の兆候が見られたら直ちにステロイド剤は中止します。
ステロイド剤は必須の薬ではなく、少しでも早くまぶたの赤みを取るために使われます。使うか使わないかはご相談の上でとなります。
ものもらいはうつりますか?
ものもらいを起こす細菌は黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌です。
人の体の表面にいるごくありふれた常在細菌です。
感染力は弱く、保育園や幼稚園でうつることはほとんどありません。学校保健安全法でも出席停止は求められていません。
ものもらいと眼帯
見た目が気になると眼帯を希望される方もいらっしゃいますが、眼帯をはめる時間はできるだけ短くしてください。
眼帯をするとものもらいが早く治る訳ではありません。
眼帯をすると瞬きができなくなり、白目の充血や目ヤニが増えることがあります。
ただ人に会うときなど外見を気にしなければいけない時は眼帯をしてください。
来院していただいた後の注意点
体調不良や心身の疲れが原因で発生することが多い病気です
ものもらいになったらたら体調を管理して、体を休めるようにしてください。
特に季節の変わり目など気をつけて夜早めに休むようにしましょう。
日頃から体調管理に気をつけて、ものもらいにかからない様にしましょう。